昨日、三十九歳になった。その日、右ひじの痛みに悩まされていた。
毎年この時期、正宗白鳥の『今年の秋』(中公文庫)を読む。そのあと立て続けに、布団にうつぶせのまま、正宗白鳥の本、深沢七郎の本を読んだ。あと新刊本も二冊読んだ。
そのときひじをついて顔をあげる格好で読んでいた。当然、ひじに上半身の体重がかかる。起き上がるときに、ビリビリといういやなかんじがした。その後、右手に力をいれるだけで関節が痛い。曲げても伸ばして力をいれても痛い。
不便だ。コップひとつ洗うのもままならない。字を書くのも苦労する。
横になっているとき、いつもは何も考えずに手をついて、立ち上がっているのだが、左手一本で起きるのは、むずかしいことがわかった。
おそらく同じ姿勢でずっと本を読んでいたせいだとおもうが、齢もあるだろう。しかし読書でひじを痛めることになるとはおもいもしなかった。
メシは左手で食った。左手一本でコーヒーを入れ、コップと皿を洗う。やりにくかったが、なんとかできた。
ところが、生れてこのかた、まったく左手でやったことのないことがある。
便所で尻をふく行為である。
できなくはないのだが、すごく違和感がある。
小さな発見であった。
インドメタシン配合の痛みどめの薬をぬって寝る。
だいぶよくなったので、西部古書会館に行く。
本を持つと、まだすこし痛む。なんぎや。