2009/06/17

Love is

 仙台の火星の庭、それから七月の外市に出品する本の値付をする。
 蔵書をどんどん入れ替えたい気分。
 本棚(三本ほど)をもらったので、組立作業もした。手作業というのは、気がつくとあっという間に時間がすぎてゆく。

 JR高円寺駅の総武線のホームに、おかしの自動販売機がある。とはいえ、自販機でおかしを買う習慣はなかったので、気にしていなかったのだが、よく見ると、ブルボンの自販機で、関西方面に遊びに行くたびに五袋くらいずつ買い求めていた「羽衣あられ」もあってビックリした。
 三重県の鈴鹿にいたころ、「羽衣あられ」は缶に入ってジュースの自販機で売っていて(という話を人にしても信じてもらえない)、わたしはこのあられが好きだった。

 今週発売の『サンデー毎日』に村上春樹の『1Q84』(新潮社)の書評をかきました。

 書けなかったというか、書かなかったことをいうと、ちょっとしたきっかけで異次元というか異空間にまぎれこんでしまう話といえば、松本零士の漫画でもおなじみのパターンなんですね。主人公のキャラクターが、あまりにもちがうので、まったく似ている気がしないけど、四畳半の畳をめくったり、近所の道の角をまがったりすると、(唐突に)ヘンな世界につながっているというような作品(『四次元時計』『闇夜の鴉の物語』いずれも講談社漫画文庫など)がよくある。

 東京堂書店で橋本治著『大不況には本を読め』(中公新書ラクレ)を購入。『日本の行く道』(集英社新書)の続編としても読める本かも。

 東京古書会館、新宿展の最終日をのぞいて帰る。

 家に帰ると、季村敏夫、扉野良人編『Love is 永田助太郎と戦争と音楽』(震災・まちのアーカイブ発行、みずのわ出版製作)が届いていた。

 五月に扉野良人さんと倉敷に遊びにいった帰り道に神戸のみずのわ出版に寄った。
 スーパーの上の階にある、生活感あふれるというか、貧乏学生の下宿のような雰囲気の出版社で、みんな日本酒を飲んでべろんべろんになって仕事をしていたことをおもいだした。
 永田助太郎(一九〇八年〜一九四七年)は、戦前に『新領土』などの詩誌で活躍していたモダニズム詩人で、鮎川信夫や田村隆一にもすくなからぬ影響をあたえた人物でもある。
《愛は
 みんなの王様ヨ みんなの王様
 最初に渾沌あり
 次いで鳩尾の大地と
 エロス エロスうまれたりとナ
 オオ ララ オオ ララ》(永田助太郎「愛はⅠ」抜粋)
 昔の詩人を紹介するというだけでなく、「スズメンバ」というバンドのメンバーの本田未明と太田泉のユニット「クルピア」が、その詩に音楽をつけ、(即興で)演奏するといった試みもおこなわれている。

 永田助太郎を知らない人に、いや、そもそも詩自体に興味のない人に、そのおもしろさをどう伝えるか。
 かなり斬新な実験をしている本だとおもう。