『sumus13 まるごと一冊 晶文社特集 付録・晶文社図書目録1973.5』(発売元・みずのわ出版)ができました。
わたしも原稿を書いたが、今回の号はどんな内容になるのか予想できなかった。宅配便の箱を開け、袋をバリバリ破り、一冊取りだす。これはいいですよ。同時にこれはいかんともおもった。まだ未入手の晶文社の本がたくさんある。「あなたの好きな、思い出に残る晶文社の本を教えてください」というアンケートを読み、ほしい本が増えた。しかも入手の難しそうな本ばかりだ。
晶文社は、エッセイ、コラム、インタビュー、対談など雑多な文章を寄せ集めた本、大きい本、小さい本、横長の本、遊び心のある本をたくさん作った。わたしが最初に読んだ晶文社の本は、山本善行さんも紹介していた『鮎川信夫詩人論集』だった。
《そのときには、さしたる考えもなく、いわばちょっとした気まぐれで選択したにすぎないと思われることでも、あとから振返ってみて、それが一生の大事に当たっていた、というようなことはままある》(「中桐雅夫」/『鮎川信夫詩人論集』)
東京にいた鮎川信夫が、神戸にいた中桐雅夫が発行していた詩誌『LUNA』に参加することになったときのいきさつを回想した文章である。LUNAクラブは、若い投稿家の集まりで、戦後の『荒地』の母胎になった。どうなるかわからない偶然のなりゆきに身をゆだねる。わたしの場合、『sumus』に参加することでその面白さを味わった。
というわけで。本日、早稲田の古書現世と池袋の古書往来座で『sumus13』を配本。
古書現世から歩いて、途中、雑司ケ谷のキアズマ珈琲で休憩し、古書往来座に行く。古書現世で『思潮社35周年記念』の冊子を買う。はじめて見た。古書往来座では伊馬春部著『土手の見物人』(毎日新聞社)などを買う。
数日前にちょうど古山高麗雄著『八面のサイコロ』(北洋社)の森敦との往復書簡形式の連載分を読み返し、伊馬春部の名前を見たところだった。『土手の見物人』の中には「“ぴのちお”回想」という阿佐ケ谷の話も収録されている。