日曜日、仙台のbook cafe火星の庭で佐伯一麦さんの読書会。その前にマゼランに寄り、古本を買い、アイスコーヒーを飲む。
読書会では魯迅の「藤野先生」「孔乙己」「故郷」を読んだ。
昔、読んだときとずいぶん印象がちがった。短い作品なのだが、構成がものすごく巧み。「孔乙己」は、飲み屋に来るだめなかんじの酔っぱらいの話である。つきはなしたミもフタもない描写が凄い(「故郷」にもいえる)。
「孔乙己」について、佐伯さんは十歳の子供の目から飲み屋の様子を描くことで、酔っぱらいにたいする容赦なさ、残酷さが出ているといい、わざと真相をぼかし、噂の積み重ねで人物像を作っているのだが、それが逆に現実感を出している……というようなことをもっと丁寧な言い方で解説してくれた。
「故郷」のときは、佐伯さんが魯迅の出身地を訪れたときの写真のスライド上映があったり、参加者それぞれの感想を聞いたり、飲んだり食ったり、楽しい時間だった。
そのあともずっと文学談義が続き、結局、午前一時すぎまで店で飲んだ。
翌日、小雨。昼すぎ、ふらっとひとりで松島に行ってみる。松島は十七、八年ぶりか。前に行ったときは、気仙沼に行く途中に降りて、海岸を歩いただけ。フェリー乗り場付近のうなぎ屋、寿司屋、定食屋の客引に圧倒される。
松島から船で塩竈行きの遊覧船に乗る。小さな島(岩)を通るたびに、録音されたアナウンスが流れる。はじめはそのたびに景色を眺めたが、だんだん飽きてきて、ずっと文庫本を読んでいるうちに塩竈に着いてしまった。わたしは観光が苦手なのかもしれない。
仙台に戻り、夜、国分町の飲み屋へ。カウンターと小さな座敷がある。刺身、芋の煮物が絶品。居心地もいい。文学好きの店主と論創社や国書刊行会の本のことなどを話した。そのあと中華料理屋へ。また午前一時すぎまで飲む。
火曜日、麻六時くらいに目が覚めてしまい、前野家の食卓に書き置きを残して、駅に向かう。一ノ関に行くか、山形に行くか。先に来た電車に乗ることにした。
山形行が先に来た。JR仙山線で一時間二十分で山形駅へ。町中をぶらぶらしているうちに、レンタサイクルを見つけ、霞城公園のちかくの香澄堂書店で大量に本を購入する。
駅前のコインロッカーに荷物をあずけ、馬見ヶ崎川沿いを自転車で走る。駅に戻る途中、たまたま通りかかった蔵オビハチという喫茶店に寄った。
山形からまた仙台に戻る。新幹線で帰る。