2011/01/25

屁理屈

 コタツと布団に入っている時間が長く、からだがなまる。
 寒さに弱い。夏の睡眠時間は平均六時間くらいなのだが、冬だと十時間以上になる。二時間以上外出すると、具合がわるくなる。

 まあ、昨日今日こうなったわけではなく、かれこれ三十年くらいこんなかんじなのだ。

 時間に縛られない職業を選んだのもそのためである。寝たいときに寝て、調子のわるいときに休みたい。それがわたしの職業選択の最優先事項だった。

 大リーグの松井秀樹選手は、自分の才能について訊かれたとき、「からだが丈夫なことだとおもう」と答えている。
 からだが丈夫だから、人より練習ができる。だからうまくなれる。
 素晴らしいことだ。
 でも彼の方法論は、わたしには何の参考にもならない。

 では、からだがあまり丈夫ではない人はどうすればいいのか。

 ひとつは、なるべく早い段階で体力がものをいう世界に見切りをつけ、なんとか自分ひとり食っていけるだけのお金が稼げたらそれでよしとすることだ。
 多少、不安なこともあるが、月十万円くらいあれば、生きていけるという自信がつくとけっこう楽になる。

 また体力がなくても「ちまちましたことを地道に続けることは苦にならない」とか「楽をするための工夫はわりと得意」とかその人に合った(生き方の)方向性がある。

 たまに大昔、石器時代だったらどうか、あるいは戦国時代だったらどうかみたいなことを考えるのだけど、怠け者にもそれなりに生きる場があったようにおもう。

 体力があって勇敢な人が命がけで狩猟やいくさに励んでいるあいだ、からだを動かすことがあまり好きではない人は新しい武器を作ったり、楽な火のおこし方を考えたりしていたのではないか。

 激しく動いて生きのびる人の比率とあまり動かずに生きのびる人の比率は、その時代時代によってちがうかもしれない。でも生きのび方の幅が広く、その種類が多い世の中のほうが、わたしはいいなとおもっている。

 やたらと早寝早起を奨励する人がいるが、だったら誰が天文学を発達させたんだ、誰が夜襲に備えるための見張りをしてたんだ、夜中は誰ひとり働かない社会で暮らしたいのか、とわたしはいいたくなる。心の中で。

 そろそろ仕事しようとおもう。