ずっとごろごろ本を読んだり、インターネットを見たりしている。長年、古本屋通いをしていて、毎回、買った本が面白いとおもえるわけでもない。最後まで読み通せない本がほとんどかもしれない。
そんなにしょっちゅう「人生を変えた一冊」に出くわせるわけではないし、そんな本がたくさんあったら、それはそれで忙しすぎて疲れる。
世の中は、ある人にとってはかけがえないことでも、別の人にはどうでもいいことばかりだ。
時間をかけないとわからない面白さもある。
古山高麗雄著『競馬場の春』(文和書房、一九七九年刊)を再読する。
《私は、「休むことと見つけたり」と「負けることと見つけたり」の二本立で競馬を楽しんでいる。(中略)私のような者は、負けても楽しむ世界を見いだすのでなければ、競馬が続けられるはずはない》(「競馬とは休むこととと見つけたり」)
(……以下、『閑な読書人』晶文社所収)