十九日は吉祥寺、スターパインズカフェで東京ローカル・ホンク、二十一日は神保町、三省堂書店で前野健太、二十二日は高円寺、ショーボートでギンガ・ギンガ(オグラ&迷ローズ、しゅう&宇宙トーンズ、ペリカンオーバードライブ)と素晴らしいライブを堪能し、飲みすぎた。
十年くらい前まで、わたしはミュージシャンと会うたびに緊張していた。音楽ライターをしていたにもかかわらずだ。自分の外見(服装もふくむ)も内面もまったくちがう人種、ステージに立つ側と見る側——そこにはどうしても埋まらない溝があるとおもっていた。
ようするに、かっこいい人たちだとおもっていた。いや、今でもかっこいいとはおもっている。
それでもどこで重なる部分がある。話が合う部分がある。
毎晩のように中央線界隈の飲み屋でのみあかしているうちに、いろいろ共通点も見つかってくる。逆に、まったくちがうところもおもしろくなってくる。
わたしが「この人、ものの見方や考えたが自分とちがっておもしろいな」とおもうときは、相手もまた自分にたいしてそうおもうこともある。
はじめのうちはライブの打ち上げにまぜてもらっても、ぎこちなかったし、話がまったく弾まず、自己嫌悪に陥ることもあった。
そんなこんなで月日が流れ、年に数回、もっとかな、いまだに緊張して、挙動不審になってしまうことはあるのだが、たぶんそういうことを乗りこえた先におもしろい時間がある。
ふと、そんな時間をすごすと、「齢をとるのもわるくないな」とおもえる。
しかし、飲み友だちになって、馴れ馴れしく話ができるようになっても、ライブを見ると、「やっぱ、すごいわ、自分とはまったくちがう人種だ」という気持になる。
酔いがさめると、「生意気なことをいってすみません」とおもう。