春というか、いきなり初夏のような気候になった。とおもったら、また寒くなる。
まもなくプロ野球が開幕する。
二〇一一年から統一球(低反発球)と可変ストライクゾーンの導入によって、チーム総得点、ホームランの数が激減した。規定打席に到達した三割打者がひとりもいないチームもあった。
打撃の調子には波がある。そうすると、同じくらいの打撃力だったら、守備のうまい選手のほうがチャンスをもらえる回数が増える。
たまたまチャンスをもらったルーキーや控えの野手が出番がきても、相手のチームが絶好調のエース級の投手が先発とか、勝ちパターン継投とかになった試合で、打撃をアピールするのはかなり厳しい。
ヒットは打てないかもしれないが、進塁打を打つ、守備、走塁で貢献する——そういうアピールの仕方もある。逆に、それができない選手は一軍と二軍を行ったり来たりする。
複数のポジションを守れるユーティリティプレイヤーの場合、出場する機会は増える分、突出したものがないと控えに回されやすい。もちろん、チームにとっては必要な選手であることはいうまでもない。
チームの看板選手、助っ人の外国人、実績のある選手とポジションが重なるとレギュラーになるのはむずかしい。
理想をいえば、レギュラーポジションの世代交代の時期と自分の伸び盛りの時期が重なるのがいいのだが、それには実力だけでなく、運も必要になってくる。
自分の出番がありそうなチームに入団できるかどうか。それからケガをしないこと、メンタルが安定していることも選手寿命に関わってくる。
期待のドラフト上位の選手が燻っていて二軍でもぱっとしない。素質はあったのにケガに泣いて、そのまま引退してしまう選手もいる。
引退後、コーチになったり、スカウトになったり、スコアラーになったり、球団の親会社で働いたり、どこで何をしているのかわからなくなったり、試合以外のいろいろなことも気になる。
一試合一試合の結果だけでなく、ひとりの選手が入団してから引退するまでの物語にも、プロ野球のおもしろさがある。
でもその物語を追いかけようとすると、仕事に支障が出る。