盆休み前の仕事が一段落して、頭が燃えかすのようになっているので、だらだらとキンドルにすすめられるままに漫画をダウンロードして読む。
桜井慎原作、川上真樹作画『クラスメート、上村ユウカはこう言った。』(ガンガンコミックス)は、表紙の絵と内容のギャップに驚いたのだけど、久々に秀逸なSF漫画だとおもった。
エキセントリックなヒロイン(上村ユウカ)が、メガネの主人公(白崎修士)を振り回す学園モノのラブコメかとおもいきや、物語の世界観がいわゆる『マトリックス』なんですね。
おかしいのは上村ユウカではなく、まわりの人たち全員というか、ヒロインもふくめて何者かに「作られた」存在であると……。
当初、そのことを知っているのは上村ユウカだけなのだが、クラスの誰からも相手にされていないヒロインの突飛な言動に好奇心をおぼえた主人公(時々ヘンな夢を見る)が、やがて平穏で退屈な日常にひそんでいる異変に気づいてしまう。
おもしろくてけっこう怖い。伏線のはり方もよく練られていて、無駄な引きのばしがなく、テンポもいい。アイデアがどんどん浮かんで、話を進めたくてしょうがないかんじがする。
最近の漫画をそれほど読んでいるわけではないけど、漫画界はこう作品が当たり前に出てくるような状況なのか。それともこの作品が特別なのか。そのあたりはまだちょっとわからない。
もう一作、これもキンドルで読んだのだが、小川麻衣子著『ひとりぼっちの地球侵略』(小学館)はかなり好みの漫画だった。
この作品も自分は宇宙人だという風変わりなヒロインが出てくる。目的は地球侵略——。
主人公の岬一は双子の弟で、さらに年上の兄が書店で働いている。高校入学すると同時に、お面を被った自称宇宙人のヒロインが「お前の命を、もらいに来た」と宣言する。
岬一は両親がいなくて、おじいさんが営む喫茶店を手伝いながら、学校に通っている。その喫茶店と年上の兄が働く隣の書店とは店の中でつながっている(変則だけど、ブックカフェが出てくる漫画なのです)。
主人公とヒロインが教室でひたすら本を読んでいたり、主人公が珈琲を作る勉強をしていたり、地味な(褒め言葉のつもり)日常が描かれていて、妙に落ち着く。もちろん得体の知れない敵(宇宙人)と戦うシーンもある。
すごい才能だなとおもった。年々、漫画への興味が薄らぎつつあったのだけど、いきなり引き戻されてしまった。
とにかくこの二作品は完結まで追いかけたい。