石神井公園の自然派ワイン食堂クラクラで開催された「又吉直樹、世田谷ピンポンズ トーク・音楽ライブ『夜を乗り越える。僕は持て余した大きなそれを、』を見に行く。
又吉さん、世田谷ピンポンズさんの詞を丹念に読み込んでいて、音楽愛あふれる解説をしていた。小説を読むこと、時間があるかぎり音楽をライブで聴きたいともいっていた。
世田谷ピンポンズの「ファミリィレストラン」という曲の話をしながら、貧乏時代にドリンクバーだけでずっとネタ合わせをしていた話もよかった。
わたしもかけだしのライター時代、阿佐ケ谷のファミレスで仕事していた。とくに夏は部屋にエアコンがなかったから頻繁に通った。そんなことをいろいろおもいだした。当時、ドリンクバーはなかったが。
世田谷ピンポンズの新しいアルバムでは、小山清の随筆をモチーフにして作った「早春」という曲が気にいっている。この日のライブの一曲目で披露してくれた。ところどころ、回転数のちがう中島みゆきの声みたいだとおもったので本人にそう伝える。ピンポンさん、ちょっと困惑していた。
自然派ワイン食堂クラクラ、料理うまかった。また行きたい。
三輪正道著『定年記』(編集工房ノア)が刊行されていたことを知る。三輪さんの本は『泰山木の花』(一九九六年)から、だいたい五年に一冊くらいのペースで刊行されている。
わたしは定年というか還暦まであと十三年。ライター業には定年はないが、仕事がなくなっても、ずっと書き続けていきたいとおもっている。
ふりかえると十年なんてあっという間のことにおもえるのだが、これから先の十年は長く、重くかんじる。
このブログもまもなく十年になる。
何かをはじめるとき「とりあえず、十年」とよく考える。
高円寺に引っ越してきたときも「とりあえず、十年住もう」とおもっていた。
上京したばかりのころ、『東京 この街に住め!!』(JICC出版)というムックを愛読していた。そこに高円寺在住二十年のイラストレーターのコメントが載っていた。当時、高円寺に二十年住むというのは夢のまた夢だった。自分もいつかプロフィールに「高円寺在住二十年」と書けるようになりたいとおもった。
もう二十七年だ。時が経つのは早い。