古山高麗雄著『立見席の客』(講談社、一九七五年刊)に、「こどもは二人まで」というエッセイがある。
一九七四年七月、日本人口会議が「日本が人口問題で深刻な影響を受け始めていることを確認、“こどもは二人まで”という国民的合意をめざした努力をすべきである」と「宣言」したらしい。
古山さんは「そういうことは、宣言というかたちで言われるべきものではないと思う」と違和感を綴っている。
ちなみに、当時の日本の出生率は平均二・一四。
一九七四年ごろの予測では、このまま人口が増え続けると、五十年後(二〇二四年)には、日本の人口は約一億四千万人になると考えられていた。
現実に日本人口会議の影響がどのくらいあったのかはわからない。
この会議に参加した「有識者」は、かつて自分たちが発した「宣言」をどうおもっているのか。すでに亡くなっている方も多いだろうが、ちょっと知りたい。