日曜日、コタツ布団をしまう。例年、ゴールデンウィーク中くらいに片付けていたのだが、今年はぐずぐずだらだらしているうちに、この時期になってしまった。
毎年のようにコタツ布団を出す、しまう話と秋の花粉症のはじまりのことを書いている気がする。
日曜日から月曜日にかけて、ひさしぶりに徹夜で……わたしは朝寝昼起なので前の晩から昼すぎまで原稿を書いた。どうにか書き終えたとおもって読み返してみたら、書いたはずの文章が何ヶ所か抜けている。おそらく頭の中では書いたつもりが、手が動いてなかったのだろう。
結局、しめきりを一日のばしてもらった。
仕事のあいま、吉田健一著『舌鼓ところどころ/私の食物誌』(中公文庫)を読む。巻末に「地域別目次」が付いている。
今の時代だと知らない料理でも、ネットで検索すれば、すぐ写真が出て、作り方もわかるが、昔はそうではなかった。
吉田健一の『舌鼓ところどころ/私の食物誌』所収の「鹿児島の薩摩汁」というエッセイでは「最後にこれを食べてから三十年近くたっていて」と書いている。
《今覚えている限りでは薩摩汁の中心をなすものは骨ごと切った鶏の肉で、その味から察すればこれはその肉を味噌汁仕立てにして何回も煮たものに違いない》
すごい記憶力だ。わたしの父が鹿児島の出身で薩摩汁の話を聞いたことがあるのだが、家では一度も出たことがなかった。
やはり三十年くらい前、わたしが中学生のころ、鹿児島に行ったときに薩摩汁が出たような気がするのだが、肉がなんだっかすっかり忘れていた。
鹿児島といっても、奄美大島の料理だが、鶏飯というご飯に細かく切った鶏をのせ、だし汁をかけて食べる料理がある。はじめて食べたとき、世の中にこんなにうまいものがあるのかとおもった。奄美の黒糖の焼酎も好きだ。