今週はじめ、品川のKAIDO books & coffeeと街道文庫に行ってきた。素晴らしかった。一年くらい前からずっと気になっていた店なのだが、あるていど自分の街道にたいするスタンスが定まるまで行くのを控えていた(今も定まっているわけではない)。街道文庫の田中義巳さんはウルトラマラソンのランナーで公務員をしながら街道の研究をしてきた。田中義巳、三輪主彦著『ジャーニーランのすすめ 東海道五十三次の走り方』(窓社、一九九七年)という著作もある。
この日はJR五反田駅から京浜急行の北品川駅まで歩いた。ほぼ一本道でJR品川駅から歩くのとそんなに時間は変わらない。
品川宿は昔の道幅と同じ旧街道がきれいに整備されている。街道初心者にもおすすめの宿場町である(詳しくはweb本の雑誌の「街道文学館」で書く予定だ。来年あたり)。
金曜日夕方神保町。東京古書会館のち神田伯剌西爾でマンデリン。
数々の野球のノンフィクションを手がけてる澤宮優さんは『戦国廃城紀行』や『廃墟となった戦国名城』(いずれも河出書房新社)という歴史関係の本も刊行している。この二冊は未読だった。いずれも書き下ろし。二〇一〇年刊。一九六四年生まれの澤宮さんが四十代半ば、大学の職員をやめ、独立したころの作品である。
すこし前に近江路を歩いたのだが、『廃墟となった戦国名城』の安土城のところで下街道(朝鮮人街道)の話も出てくる。膨大な資料を読み込み、それを血の通った文章にする技術がすごい。何を書いても文章がいい。
最近、『三塁ベースコーチが野球を変える 監督を代行する10番目の選手』(河出文庫)が文庫化され、再読する。「縁の下の力持ち」といわれるような人を通して、野球の見方を変えてくれる本だ。
話はズレるけど、今年インターネットの野球関係の掲示板で「ようやっとる」という言葉をよく見かけた。今年の野球界(ネット)の流行語だ。
中日ドラゴンズの白井文吾オーナーが低迷する森繁和監督体制のことを評した言葉である。褒め言葉ではなく、ほんとうにひどい状態を茶化す意味合いでつかわれることも多いのだが、語感の明るさにおかしみがある。
あと今年のペナント前半、ヤクルトの山田哲人選手が四球で出塁ばかりしていたころ「ウォーキング・テット」という書き込みもよかった。何年かしたら忘れてしまいそうなのでメモとして残しておく。