2018/12/07

働いたほうが楽

 数日前に日中の気温二十度と書いたら、急に寒くなる。睡眠時間がズレる。貼るカイロとヒートテックのおかげで昔と比べるとかなり冬は楽になった。毎年同じことを書いているような気がする。
 気温とメンタルの関係はどうなっているのか。わたしは寒いと気力が減退する。 
 仕事中、気がつくと寝ている。冬のあいだは通常の半分くらいのことしかできないとおもっている。

 色川武大著『無職無宿虫の息』(講談社文庫)の「すけこまえれじい」にこんな一文がある。

《遊びというものは、あれは、段階を追って進んでまいりますと、もう中毒なんでありまして、面白いというようなもんじゃないんですな》

 遊び、あるいは趣味にしても本気でやれば、「働らいてる方がよっぽど楽なんですから」という状態になる。
 そこまで趣味に入れ込めるかどうか。ジャンルはちがっても、マニアの世界には楽ではない領域がある。その領域に踏み込んだ人じゃないとわからないことがある。
 年々わたしはそういうところから足が遠のいている。古書会館も初日の午前中を避け、二日目の午後に行くことが増えた。翌日の仕事に支障が出るような酒の飲み方もしなくなった。どんどん無理をしない人間になっている。

《遊びばかりじゃないんですな。物は癖といいまして、私なんかでも、昔、ちょっとした拍子で一日働いちゃったりすると、ああ危ない、これが癖になって、働らかずにいられなくなったらどうしよう、と思ったりして、それでもそういうときというものは、なんか働らきたいもので。
 働らきたいときに働らくなんて、わがままだッ、なんて無理に自分にいいきかせる》

 古本屋通いにしても街道歩きにしても楽しいとおもっているうちはまだまだなのかもしれない。いまだに働いているほうがつらい。

(追記)
 web本の雑誌の「街道文学館」更新しました。
http://www.webdoku.jp/column/gyorai_kaidou/