2019/06/05

高齢ドライバー

 昨年八月に刊行された樋口裕一著『65歳 何もしない勇気』(幻冬舎)に「運転しなくていい」というエッセイがある。

《私は、歩くことと運転することは同じ程度の能力を要するのではないかと考えています。つまり、年齢のせいで近くのスーパーまで歩くのが億劫になったら、気づかずにいるだけで、運転能力も間違いなく、同じように落ちていると思うのです。ですから、歩くのを億劫に感じ始めた時、自分から返納を考えようと思っています》

 わたしは車の免許を持っていないのだが、この意見には賛成だ。足の衰えだけでなく、目も大事だ。免許の更新にかんしては、今も認知機能検査はあるようだけど、医師による足や目の検査も義務づけたほうがいいのではないか。そこでドクターストップがかかれば、免許を即返納する。
 父は七十四歳で亡くなったが、七十歳のときに次は更新しないといっていた(五十年以上、無事故無違反)。そのころ白内障の手術をしていた。母に聞いたら、運転中に体調不良になり、そのまま病院に行ったこともあったという。一歩間違えば、大きな事故を起こしていたかもしれない。

「歩くのが億劫」になった人が免許を返納していたら助かった命があると考えるとやりきれない気持になる。