毎年だいたい十一月のはじめにコタツ布団を出し、五月の連休中にしまう(気温によって、ちょっとズレることもある)。
今年は十一月六日にコタツ生活が開幕した。
尾崎一雄先生に倣い、十二月になったら冬眠モードに入る予定だ。昨冬は街道歩きにのめりこみ、外出することが多かった。歩いているうちに「すこし体力がついたかな」と過信していたところ、秋にバテた。やはり一年にわたって、ずっと調子を保つのはむずかしい。
からだを冷やさず、疲れをためず——年中、自分にそう言い聞かせているのだが、すぐ忘れてしまう。
スタンド・ブックスの新刊、スズキナオ著『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』はエッセイとルポ——なんていうジャンル分けから自由にはみだしていく雑文感が読んでいて心地よかった。あとお金をかけず、無駄な時間をかけるスタンスもいい。収録されなかったという話も読みたくなる。
半額シールの肉パーティの話が好みだった。なんとなく、その生き方や遊び方はトキワ荘の時代っぽい雰囲気がある。
著者は一九七九年生まれ。長年東京に暮らしていたが、今は大阪在住とのこと。今度、大阪に行ったら、この本に出てくる銭湯に寄りたくなった。