2022/07/19

オレンジ色の電車

 高円寺駅百周年(七月十五日)に合わせて、三好好三、三宅俊彦、塚本雅啓、山口雅人『中央線 オレンジ色の電車今昔50年』(JTBパブリッシング、二〇〇八年)を読む。高円寺駅、阿佐ケ谷駅、西荻窪駅(杉並三駅)はいずれも一九二二年七月十五日開業(中野〜三鷹間で土日祝に快速が止まらない駅でもある)。雨の週末、高円寺と阿佐ケ谷間のガード下を歩いていたら、JRの制服を着た人たちと立て続けにすれちがい、「何だろう」とおもったら倉庫みたいなスペースでイベントを開催していた。子ども連れの家族がけっこういた。

 一九六二年、高円寺駅の高架化の工事がはじまり、一九六六年四月二十八日に高架駅になった(同時期に営団地下鉄の東西線の乗り入れも開始)。
 高円寺に引っ越してきたころ、高円寺駅が高架になる前の話をカウンターだけのバーで聞いたことがあった。遠い昔のことのようにおもえたが、その当時から計算すると二十四、五年くらい前の話だ。五十歳すぎた自分も二十四、五年前の一九九〇年代のことをつい最近の話みたいな感覚で喋りがちである。二十代前半くらいの人からすれば、変な感じがするだろう。

 この本、高円寺駅の高架工事中の写真(鉄道写真家の荻原二郎が撮影)なども収録されている。戦後の仮駅舎の写真もある。荻原二郎は戦前からずっと鉄道写真を撮り続けてきた。写真集も出ている。

 わたしは上京したころ、高円寺駅は自動改札ではなく駅員さんが切符をきっていた。土曜日に快速が停車した(一九九四年十二月から土曜も通過するようになった)。
 小島麻由美の「恋の極楽特急」(一九九五年)にオレンジ色の特急に乗って彼に会いに行くという歌詞がある。MVには中央線の駅、ホームの喫煙所、路線図、全面がオレンジの中央線の車両が出てくる。すべてが懐かしい。でも「恋の極楽特急」はそんなに昔の曲とはおもえない。