2023/07/02

本の長屋

 土曜日、西部古書会館大均一祭(初日二百円)。わたしが行ったのは午後二時すぎだけど、盛況だった。
 以前、京都の扉野良人さんに教えてもらった添田知道著『利根川随歩』(三學書房、一九四一年)という装丁がちょっと凝った本があって、ちょうど川関係の本を集めはじめていた時期だったのですぐ入手して読んだ。大均一祭で『利根川随歩』があり、「え? ビニカバ?」と奥付を見たら、一九七四年に崙書房が刊行したほぼ装丁そのままの復刊本だった。崙書房は千葉(流山市)の出版社。二〇一九年七月末に休業した。千葉県の本を数多く刊行していた。『利根川随歩』の三學書房版のほうは頁がぼろぼろだったので、均一価格ということで崙書房版も買うことにした。

 夕方、小雨になったので高円寺のコクテイル書房の並びにある「本の長屋」に「文壇高円寺古書部」の古本を並べてくる(入口近くのいちばん下の棚)。私小説、文学展パンフなど。今後は大判の本(図録など)も売りたいとおもっている。

 大均一祭(二日目百円)、福原麟太郎の本二冊、野田宇太郎著『風景と文学』(文一総合出版、一九七九年)など十冊。家に帰って『風景と文学』を見たら、署名本(別紙の謹呈の紙にだが)だった。

 先日、三重と京都に行ったさい、直前に神保町の文庫川村で岩波文庫の『更級日記』(鉛筆の書き込み有)を買ってカバンに入れた。前の持ち主、註釈に「?」をつけまくっている。
 新刊の河合隼雄著『河合隼雄の人生論』(PHP文庫)の「輪廻転生」の項を読んでいたら、ここにも『更級日記』の話が出てきた。

『浜松中納言物語』の主人公の父は唐の国の第三王子に生まれ変わっていたという話から——。

《『浜松中納言物語』の作者は『更級日記』と同一の作者ではないかといわれている。そして、そのなかにも転生のことが語られている》

 街道への関心から『更級日記』のことが気になりはじめたのだが、転生も絡んでくるとは……。ここ数年の異世界研究は無駄ではなかった。