2007/06/01

都会と田舎

 なぜか、最近、海とか山とか川とか……いや、田んぼでも畑でも用水路でもいい、木とか草とか土とか岩とか、そういうものにむしょうに見たくなることがある。
 京都の友人の家でしばらくすごした。家から歩いてすぐのところに川が流れていて、大きな神社もあって、何の用もなく、ぶらぶら歩いているだけでも楽しくて、もうすこし自然の豊かなところに住みたいなあとおもった。

 田舎に住んでいたところは、そんなことはかんがえもしなかった。ひたすら都会にあこがれていた。でも東京に暮らして十八年、十九年とたつうちにだんだん自然にあこがれるようになった。たぶん田舎に引っ越したら、また都会に住みたくなるだろう。
 ようするに、いつだってわたしはないものねだりをしているわけだ。

 十年ちょっと前、建設関係の業界紙の仕事をしていたころ、いろいろおもしろい話を聞いた。
 この先、二十一世紀の公共事業はこれまでに人間の作ったものを壊して、なるべく自然に戻すための工事をすべきではないかという人がいた。
 たとえば、道路の舗装にしても、アスファルトではなく、砂利とか砂とか、なるべく自然のものをつかったり、コンクリートで護岸した川をもういちど自然に戻したり、そういうことにお金をつかったほうがいいという。
 その人は、水を吸収する砂の舗装の研究をしていて、子どもが裸足で歩ける道をどんどん作りたいと語っていた。

 そうなればいいのにとおもった。