2009/03/27

可もなく不可もなく

 記憶をたどると、二十五歳くらいのときにがくっと体力が落ちたような気がする。それまで一日寝れば、どんなに疲れていても、元気になった。でも、だんだん疲れがとれなくなる。
 年齢のちがいはあるかもしれないが、たいていの人は経験することだろう。

 三十代でもそれがくる。
 四十代になったら、もっとたいへんだよと教えてもらった。
 覚悟はしておこう。

 これまでの研究では自分への期待値をあまり高く見つもらないほうがいいということがわかってきた。
 気力が充実し、体調も万全の状態なんてものはそうそうない。「可もなく不可もなく」くらいの調子でよしとする。

 バロメーターとしては、布団を上げたり、食器洗いをしたり、近所の古本屋に行ったりする元気があるかどうか。
 調子がよくないとそれすら億劫にかんじる。そういうときはなるべく怠ける。「可もなく不可もなく」ではなく、あきらかにダメなときは休むしかない。

 そのときどきに何らかの課題があるときのほうが、やる気は出やすい。
 ただし、その課題が今の自分の手に負えるものかどうか。楽すぎても難しすぎてもいけない。

 二十代のころは、とにかく自分ひとりどうにか食っていければいいとおもっていた。目の前の仕事を片づけることでいっぱいいっぱいだった。

 そうこうしているうちに三十代になり、書けば書くほど書くことがなくなってくる。
 日々の疲れをとりながら、日々の仕事をこなしながら、日々の家事その他の雑用をこなしながら、今後のための勉強もしなけれならない。
 それがだんだんむずかしくなる。

 自分がほんとうに知りたいこと、ほんとうに必要なものというものは、そんなに多くない。むしろ情報過多におちいっているのではないかと心配になる。

 二、三年、古典を読みふけって頭の中を整理したい気もするが、そんなことをしていたら、仕事にならない。

 どうすれば好奇心や探求心を持ちつづけられるのか。