2009/10/16

眠い日々

 あれもこれもといろいろやりたいことがあったのだが、何もせず、寝てばかりいたら、ちょっと生活が落ち着いた。
 なんでこんなに眠いのか。夏の疲れか、気温の変化か、そんなことを考えつつ、また寝る。
 マンション水漏れ事件以来、部屋が片づくまで、古本屋めぐりを自粛していたのだが、夜中、インターネットの古本屋であれこれ買ってしまう。

 三輪正道著『泰山木の花』(編集工房ノア、一九九六年刊)が届く。

《一日の仕事を終えて(という充実感はまったくなく、ただ徒労のような虚しさ)八時に帰宅。もうだめだという感じ》(もだもだ日乗)

『サンデー毎日』に吉田篤弘著『圏外へ』(小学館)の書評を書いた。字数の都合で紹介しなかったが、上林暁の本のことが出てくる。そのことを中心に論じれば、また別の書評になったかもしれない。読み方が問われる小説だなあというのが、率直な感想。

 本に埋もれて暮らしている「円田君」という登場人物が、四十歳の誕生日に「ここが折り返し点だと思いたいです。もうあと半分、こんな調子で生きてゆけたら」と語る。この台詞が、すごく印象に残った。

 あと半分か。こんな調子で生きてゆけるのか。

 二十代のころから、年上の知り合いに四十歳になったときのことをいろいろ聞いてきた。
 当時、どうすれば、そのくらい齢になるまで仕事を続けられるのか、よく考えていた気がする。このあいだも同世代の知人とそういう話になった。フリーライターの世界では、十年続けばなんとかなるといわれている。たぶん、根拠はない。根拠はないが、信じて続けているうちに、三十歳になった。
 三十歳のときになんとかなっていなかった。ただ、ほかの選択肢がなくなって、いけるところまでいくしかないと覚悟せざるをえなくなった。

 まもなく四十歳。
 今はあまり先のことを考えたくないという心境。