文明や国家、企業、メディア、個人にも、草創期、安定期、衰退期といったサイクルがある。サイクルはかならずしも一定していないし、スピードもちがう。
安定期をのばすための工夫、試行錯誤はまどろっこしい。衰退期をしのぐ努力はむなしい。それより新しいことをはじめたほうが楽しい。技術革新のスピードが早いし、次々と新しいサービスが出てくる。地道にこつこつやっていると「まだそんなことやっているんですか」というかんじになる。
十年、二十年と続く雑誌がだんだん減ってきている。昔からそういう傾向がなかったわけではないが、売り上げが落ちると、すぐ休刊になる。
お金にならないことはやらない。面倒くさいことはやらない。お金にならなくて面倒くさいことはすぐやめる。
長続きしない理由には、そういう気分があるとおもう。
(……以下、『活字と自活』本の雑誌社所収)