いちども就職したことがないせいか、友人知人も自由業の人が多い。そういう仕事(非勤め人)をしていると、「たいへんでしょ」とよくいわれる。
仕事をはじめたころから、不安定な生活をしている身としては、お金があったりなかったりというのが当たり前のことになる。
お店をやっている人の雨とか雪とか台風のときだと、売り上げはさっぱりという感覚にちかいかもしれない。
先月と比べて、収入が倍になることもあれば、半分になることもある。ゼロになることもある。
当たり前だけど、ゼロが続くと食っていけない。
だから、まず考えるのは、最低限の収入の確保である。
(……以下、『閑な読書人』晶文社所収)