リラックスと集中、そしてリラックスした集中——。
限りある力をどこでつかえばいいのか問題は、あれこれ考えるよりも日常の中で試していったほうがよいのかもしれない。
これまでも精神面の安定についてはそれなりに考え続けてきた。
一日のうち、起きてから寝るまでのあいだに何回もパズルや詰将棋を解いて、いちばん頭がまわる時間を調べたこともある。
眠いときと腹が減っているときと満腹のときと体に酒が残っているときはまったくだめだった。
つまりそれ以外の時間は大丈夫ということになる。
二十代のころはそういうことをまったく考えずに眠気や空腹を我慢したり酒を飲んだりしながら仕事をしていた。
今はできない。できなくなったから時間の使い方に注意をはらうようになったともいえる。
集中がとぎれたら、のんびりするか寝るかして、気力と体力を回復させる。結局、そのほうが仕事も捗る。がむしゃらに時間をかけることには意味がない。
ただし、こうしたやり方をつきつめていくと、他人との共同作業が困難になる。
自分の精神状態のあり方に固執しすぎると融通の利かない狷介な人間になってしまうからだ(その自覚はあるが、改善できているとはいえない)。
苛々しているときは、外に出てゆっくり歩くと気持が落ち着く。
そのことをよく忘れる。