シマウマ書房の鈴木創編著『なごや古本屋案内 愛知・岐阜・三重』(風媒社)が届いた。名古屋市内の古本屋でも知らない店がけっこうある。三重に帰省するときに、駆足でまわるくらいで、一軒一軒じっくり立ち寄ったことはほとんどない。
予備校時代は千種と鶴舞界隈の古本屋に行っていた。あと新刊書店のちくさ正文館、ウニタ書店でカルチャーショックを受けた。夏季講習や冬季講習のお金は、古本と漫画喫茶代に消えた。今おもえば、極めて正しいお金のつかい方だったわけだが、そのことがバレて、親にものすごく怒られた。
二十五年前の話である。
名古屋はいまだに土地勘がなくて、地下鉄をよく乗り間違えてしまう。
三重県は伊勢市の古本屋ぽらん一軒のみ。
夕方、神保町。神田伯剌西爾のち神田古本まつり。といっても、買ったのは清岡卓行著『大連港へ』(福武文庫)一冊だけ。この中に「野球という市民の夢」という章があって、これが読みたかったのだ。
清岡卓行著『猛打賞 プロ野球随想』(講談社)に、株式会社日本野球連盟の社員だったころ、「一試合三安打以上の選手へ贈る猛打賞」をおもいついたという記述がある。
『大連港へ』の文庫はずっと探していたのだが、なかなか見つけることができなかった(それほど入手難の本ではないとおもうのだが)。探していたことさえ忘れたころに見つかった。
それで満足して、今日はもういいやとおもってしまったのは、今、蔵書の整理に追われているからだ。
新しいことをはじめるためには余白がいる。余白を作らないと新しいことがはじめられない。
というわけで、京都のガケ書房の「『本』気の古本週間」(十月三十一日〜十一月十四日)に、文壇高円寺古書部も本を送りました。