2018/11/11

どんなふうにして

 金曜日、小雨、夕方、神保町のち中野。古本案内処の棚、あいかわらず楽しい。探しているジャンルの知らない本が見つかる。あとそこから派生してつながるジャンルの本に気づかされる。
 翌日、西部古書会館。「街道本」も入手済の本を見かけることが増えてきた。二度目に見る本はたいてい最初に買ったときよりも安い(だから値段は見ない)。

 仕事と読書の時間をどうするか。読みたい本と行きたい場所が増え、時間が足りない。といっても、酒飲んで本読んでだらだらしていた時期だって、時間が足りるということはなかったわけで、結局、できる範囲でやりくりするしかない。

 気分転換にアメリカ探偵作家クラブ著『ミステリーの書き方』(大出健訳、講談社、一九八四年)を読む。
 この本はミステリーの技法(プロットやアウトラインの作り方)の解説だけでなく、「いつ、どんなふうにして書くか」について多くの作家の意見を取り上げていて勉強になる。

 ジョン・D・マクドナルドはこんなふうに回答している。

《いつ何時間書くにせよ、自分のからだの機能とエネルギーのサイクルに合わせて、規則的に書かなければいけない。気分が乗った時に書くなどという作家は、物書きとして成功できないばかりか、人間としても成功できないように思う。(成功といっても金の面だけを言っているのではない)》

 アメリカのライター本は「規則」を重視する傾向がある。

 ロス・マクドナルドは「一日三、四時間、週五日、昼前後から始めて規則的に書く」といい、エリック・アンブラーは「一日五時間、毎日書く。日曜や祭日も休まず、早い時間に朝食を済ませてすぐに始める」と答えている。
 ドロシー・ソールズベリ・デービスは「わたしはなるべく、書きかけの状態で一日の仕事を終えて、翌日のとっかかりを残しておくようにしている」という。書けるだけ書くのではなく、書きすぎない工夫も必要なのだろう。

 気分が乗らなくても自分の決めた時間に規則正しく書く。どうすればそれができるようになるのか——の答えは見つからなかった。