2020/06/10

雑記

 神保町、キッチン南海は大行列ができていた。
 先週から小宮山書店のガレージも復活している。神田伯剌西爾でアイスコーヒー。
 三省堂書店の並びの博多うどんの店は毎回J-WAVEのピストン西沢の番組が流れている。

 行き帰りの電車で山本容朗著『作家の生態学』(文春文庫)の続きを読む。十返肇、戸板康二、山本容朗のような軽評論――文壇ゴシップを書く人がいなくなった。

『作家の生態学』に「吉行淳之介の“お墨付き”」という言葉が出てくる。

《吉行淳之介の“お墨付き”というものがあると噂があってから、かれこれ十年になろうか。昔、川端康成が認めると、それが、文壇へのパスポートを意味した。(中略)が、「吉行が認めている」という編集者のことばには、かなりの重さがある。それには、いい線いっている有望株という響きがあった》

 色川武大、田中小実昌、野坂昭如も「吉行淳之介の“お墨付き”」といわれていた。

『作家の生態学』を読み、水上勉著『今生の人びと』(構想社、一九七八年)をインターネットの古本屋で買った。届いてから山高登の装丁の函入の本と知った。この本は正宗白鳥や木山捷平や梅崎春生の話も出てくる。関口良雄の『昔日の客』(三茶書房)の隣に並べたい。雰囲気がよく似ている。

《『今生の人びと』は、もし、水上さんで一冊と言われたら、私が迷わず、これだとあげる本である》(「作家の生態学」/同書)

 さらに『今生の人びと』の中でも「木山捷平さんを書いた『鯉の話』は、白眉』」と記している。

 岡山県笠岡の古城山公園に木山捷平の詩碑がある。詩碑の建立には井伏鱒二が関わった——という話をどこかで読んだ記憶がある。

 木山捷平の書簡を見ると高円寺時代の住所が「杉並区馬橋四-四四〇」となっている。阿佐ケ谷寄りの高円寺か。
 戦前の東京の古い地図がほしくなる。