2020/06/02

新しい非日常

 先週、久々に新宿に行った。
 西口のよく行く金券ショップに寄ったら新幹線の回数券が一枚も売ってなかった。長年、新宿の金券ショップを利用しているが、はじめての光景だ。安く売ってたら名古屋か大阪の切符を一枚くらい買おうとおもっていたのに。
 図書カードは一万円分が九千五百円だった(過去最安値かも)。

 そのあと青梅街道の宿場町が描かれたトンネルを抜けて東口へ。喫煙コーナーが閉鎖されていた。紀伊國屋書店に寄る。地下一階の水山で天ぷらうどん。人もいつもより少ない。

 新宿の追分から甲州街道を歩いて四ツ谷まで。快速一駅分だけど、散歩にちょうどいい距離である。歩道も広くて歩きやすい。

 学生時代、四ツ谷と麹町の中間あたりの編集プロダクションに出入りしていたことがある。
 仕事は電話番。暇だったからパソコンにインストールされた上海やソリティアで遊んでいたら戦力外通告を受けた。

 麹町の事務所に出入りしていたころ、Tさんというライターの先輩がいた。
 Tさんは今はテレビに出たり、大学で教えたり、多忙な日々を送っているが、当時は阿佐ケ谷に住んでいて貧乏だった。平日昼間に馬橋公園でキャッチボールをしたこともある。出版社の草野球の試合に出るから、その前に肩慣らしがしたいと誘われたのだ。
 キャッチボールをしていたとき「魚雷君はさあ、ルポやノンフィクションじゃなくて、荒俣宏さんみたいな資料を読んで書く仕事のほうが合ってんじゃないか」といわれた。
 わたしが二十二、三歳くらい、T先輩が二十七、八歳のときだ。

 T先輩は適当にいったのかもしれないが、わたしは勇気づけられた。