2021/01/03

寝正月

 年末の掃除中、右手の指に木の破片(極小)が刺さり、抜けなくなった。二日ほどキズパワーパッドを貼っていたら、その破片が浮き出てきて無事除去することができた。些細なことだが、嬉しい。

 毎日しょうが入りのけんちん汁かみそ汁を作る。寒いのはつらいが、温かいものはうまい。外から帰ってきて、角のお湯割りを飲むと、からだがふわっとする。よきかな。
 冷えと疲れは万病のもと——たぶん、この古来からの教えはまちがっていない。
 わたしの場合、気が滅入っているときも、からだが冷えているか疲れていることが多い。

 だから正月にコタツでお湯割りを飲んでいると、人として正しい行いをしている気がする。

 今年の初読は山田風太郎の『コレデオシマイ。』(角川春樹事務所)。そのあと『いまわの際に言うべき一大事なし。』『ぜんぶ余禄』(同)も読み返した。

《とにかく人生というものは偶然だと思っているからね、この世界におるのも偶然だし》(『コレデオシマイ。』)

《よくいうことだが、日本にこれほど幸福な五十年は、いままで、一回もないからね》(『いまわの際に言うべき一大事なし。』)

《元旦の朝から酒を飲んで、気がついたら、いつの間にか四日がとうに過ぎている(笑)》(『ぜんぶ余禄』)

 大らかな(いい加減な)酔言が心地いい。今年もよろしく。