朝寝て昼寝て夜寝て……三度寝くらいしてしまう日が続いた。そのせいかどうか、しょうもない夢もたくさん見た。ベルトがちゃんとズボンを通っていないことに気づく夢とか冷凍庫から見覚えのない肉が出てくる夢とかトイレの電球が切れている夢とか……現実感がありすぎて起きたときに変な気分になった。
『本の雑誌』十一月号の特集「やっぱり神保町が好き!」。わたしは岡崎武志さんと「神保町を歩こう対談!」という対談をしました。小諸そばの話はカットされるとおもっていたが残っていた。
学生時代から御茶ノ水・神保町界隈に通っている。古本屋めぐりのために上京した……といっても過言ではない。しかしずっと古本に夢中だったわけでもない。どんなに好きなものでも熱は冷めてくる。それでも惰性や習慣で本を買う。何でもいいから買う。読みたい本が見つからないときはこれまで読んでこなかった分野の本を買う。
文学一筋、歴史一筋みたいな人生に憧れもあるが、自分はそうではない。漫画、野球、将棋、釣り、街道……と時期によって集めている本はバラバラである。古本屋に行って、家でごろごろしながら読んでも読まなくてもいい本を読む。十年、二十年前に読んだ本が今の自分の考え方につながっている……ことはよくある。
そのときどきの状況や体調によって読書の面白さも変わる。生活が不安定のときのほうが真剣に本を読んでいる気がする。読んでいるときは、それが後の自分にどんな影響を及ぼすのかわからないことのほうが多い。
四十歳前後に川の本を集め出したことが、街道への興味につながっている。街道から地理や歴史のことを知りたくなる。一つの関心を掘り下げていけば、いろいろなことにつながっていく。どこに向かっているのかわからなくなることもよくあるが、それはそれで楽しい。