最近、日常の行動範囲を広げたいと考えている。散歩のルートがちがえば、見える景色も変わる。小さな変化の積み重ねが、自分の思考や感覚にどんな影響を及ぼすのか。何も変わらないならそれはそれでいい。
この十日くらいのあいだに野方を四度歩いた。高円寺と野方は徒歩二十分くらい。火曜日、小雨。西武新宿線の都立家政を目指し、高円寺北口の商店街を歩いていたら、古本ツアー・イン・ジャパンさんとサンカクヤマの前で遭遇する。軽く挨拶する。早稲田通りを越え、大和町の中央通りをまっすぐ北へ。高円寺からは都立家政も野方と同じくらいの距離だ。
今年、中野区の大和町、若宮あたりにワゴン車のコミュニティバスが運行する予定というニュースを見た。今は実験走行中のようだ。
ブックマート都立家政店……なんといったらいいのか、長い年月をかけて熟成されたお宝とガラクタのごった煮感がいい。本だけでなく、CD、レコード(レア盤あり)、おもちゃ(バルタン星人の人形など)もある。矢口高雄のエッセイ集などを買う。
都立家政の北口を歩いて新青梅街道から野方へ。都立家政と野方は近い(徒歩で七、八分)。野方の北口の商店街のサカガミというスーパー、近所の店ではあまり見かけない刺身(カワハギ)が売っている。郷里にいたころ、カワハギ(地元ではハゲと呼んでいた)の干物をよく食べた。いつも家にある魚だった。志摩にいたおば(母の姉、板前)がしょっちゅう送ってくれていた。野方に行けば、(いつでもかどうかはわからないが)カワハギが売っているとわかったのは嬉しい。あと近所のスーパーはコチ(マゴチ)があんまり売っていない。年をとったせいかどうかはわからないが、肉より魚が好きになっている。
以前、野方でふらっと入った喫茶店があり、ひさしぶりに寄ったら居心地がよかった。古本屋に寄り、家に帰る前に喫茶店に入り、買ったばかりの本を読む。
店を出る。雨と風が強くなっている。バスに乗るのもありかなとおもったが、歩いて帰ることにした。