十一月二十五日(金)の午後一時すぎ、新宿駅から湘南新宿ラインに乗る。武蔵小杉駅をすこし過ぎたところで富士山が見えた(建物の間から、ほんのちょっとだけ)。
横浜駅で地下鉄(みなとみらい線)に乗り換え、元町・中華街駅へ。
以前は東横線で桜木町駅まで行くことが多かった。何度も降りているのに横浜の地下鉄はいまだに迷う。目的地の反対側の出口(中華街のほう)から出てしまう。中華街でちまき、まいばすけっとでビールを買い、公園で飲み食いする。
数日前に阿佐ケ谷の古本屋で神奈川近代文学館の川端康成の文学展の招待券をもらっていた。川端展は過去にもいろいろな文学館で開催されている(文学展パンフの数も多い)。書画骨董などのコレクションがすごい。三島由紀夫といっしょの写真を見て、今、小説をまったく読まない人でも顔と名前を知っている作家はどのくらいいるのかと考える。展示を見て、吉田健一と川端康成の文学展パンフを買う。
関内駅まで歩いて地下鉄で弘明寺(ぐみょうじ)駅へ。前号の『フライの雑誌』の取材(大岡川沿いを歩いた)を通して好きになった町だ。鎌倉街道らしき道も通っている。
地下鉄ブルーラインと京急の駅のあいだの商店街がいい。
柳屋という衣類などの激安店があり、新調したいとおもっていた掛け布団カバーを買う。五百九十八円だった。前に行ったときは九十八円の枕カバーを買った。
地下鉄の弘明寺駅に着いたのが夕方で京急の弘明寺駅あたりで日没になる。
駅から坂と階段をのぼったところに弘明寺公園があり、横浜の夜景の名所としても有名だ。前に弘明寺に行ったときはまだ明るい時間帯だったので夜景は見ていない。
公園の展望デッキも登る。西の空はかすかに夕焼けが残っていたが、港方面は見事な夜景だった。高校生くらいのカップルが二組いた。邪魔したな。
帰りは京急で品川駅まで行こうかどうか迷ったが、横浜駅でJRに乗り換えると電車が遅延——すぐ改札で払い戻し、東急に乗り換え、渋谷駅へ。渋谷もひさしぶり。渋谷ヒカリエで惣菜を買う。
新宿駅からJR総武線に乗ると映画「月の満ち欠け」の中吊り広告があった。映画の宣伝と横に岩波書店の佐藤正午の単行本と文庫の広告も。この日、行き帰りの電車の中で佐藤正午著『小説家の四季 1988−2002』(岩波現代文庫)を読んでいた。
一時期激減していた電車の中吊り広告がやや復活したような気がする。