2022/11/09

帰省 その一

 先週、金券ショップで新幹線の切符を買った。日程変更が必要な切符で、高円寺駅(阿佐ケ谷駅も)にみどりの窓口がないので中野駅か荻窪駅まで行かなくてならない。どちらも散歩圏内だが、世の中はすこしずつ便利になるかとおもえば、こんなふうに不便になることもある。

 四日、金曜の昼すぎ東京駅へ。名古屋駅まで自由席——なるべく混んでなさそうな新幹線に乗ろうと新大阪行きのひかりに乗る。ひかりは自由席の車両が多いので座れる確率が高い。途中の停車駅は小田原駅が一つ増えるくらいで時間もそんなに変わらない。
 出発十五分前くらいに着いたら、新幹線の到着ホームの先頭だった。

 前は郷里に帰るさい、ノートパソコンを持参することがあったが、今はキンドルでだいたいすむ(何度も書いていることだが、携帯電話やスマホを持っていない)。ところがわたしはキンドルのタッチパネルで文字を打つのが苦手で、ちょっとしたメールを送るのにものすごく時間がかかる。悪戦苦闘の末、F社のHさんに改行なしのメールを送ってしまう。

 名古屋駅のエスカの寿がきやで白ラーメン、とうとう六百円台に。エスカの寿がきやは高級(?)路線で、通常店のラーメンはまだ三百円台だったはず。さくっと食べて近鉄へ。まだ明るかったので鈴鹿市駅で降り、旧伊勢街道(神戸宿)を歩く。ほんのちょっと宿場町の雰囲気が残っている。

 郷里の商業施設事情もずいぶん変わった。ハローベルベル(地元ではベルベルと呼んでいた)、アイリスがなくなった。鈴鹿ハンター内のフードコートのスガキヤも三年くらい前になくなった。アイリスにもスガキヤがあった。中学時代のたまり場だった。
 近鉄の鈴鹿市駅にはキング観光鈴鹿店(パチンコ屋)に寿がきや(高級なほう)がある。

 そのまま歩いて母が暮らす家に向かうが、その前に港屋珈琲で休憩する。机が広くて快適である。喫煙席は電子タバコ専用になっている。わたしも三年前からアイコスに変えた。
 地元、夜間も営業している喫茶店が増えた。夜の避難所になっている。助かる。

 東京から掃除グッズ(スキマブラシ、化学スポンジなど)を持ちこみ、家の掃除する。袋の数がすごい。賞味期限のチェックもした(高齢の親と離れて暮らしている人はやったほうがいいとおもう)。
 郷里で過ごしているうちに、子どものころ、家を出たかった理由をおもいだす。たとえば、夜、起きて本を読んでいると、いきなり家中の電気を消される。まさか五十代になっても、こんな経験をするとはおもわなかった。「電気代を払う」といっても無駄である。この日、鞄からLEDのヘッドライトを出し、「ここは洞窟だ」と言い聞かせながら本を読み続けた。街道歩きのために常備しているライトがおもわぬところで役に立った。

(……続く)