2022/11/27

狛江

『フライの雑誌』最新号(126号)届く。わたしは島村利正と多摩川の話を書いた。島村は狛江市に長く暮らしていた作家で釣りも好きだった。島村利正著『随筆集 多摩川断想』(花曜社)を読んで、狛江を歩きたいとおもっていた。
 十月下旬、はじめて小田急の狛江駅で降りた。さらに十日後——。

 先日、三重と大阪に行った帰り——郷里の家から朝六時前の電車で名古屋に出て、名鉄の特急で豊橋まで行き、JRの在来線で浜松駅で下車。馬込川をすこし歩いて、金券ショップで新幹線の切符を買い、こだまで小田原駅まで行き、小田急に乗り換える。
 途中、登戸駅で下車した。多摩川沿いの登戸の渡し(跡地)を見て、多摩川水道橋を渡り、狛江駅へ。短期間に二度狛江を訪れた。
 前に歩いたときには寄らなかった南口の商店街を散策する。住宅街も歩いた。荷物がなければ、野川まで歩きたかった。

 一、二度、訪れたくらいでは何もわからない。それでも町の名前を聞いて、ぼんやりと風景が頭に浮ぶ。今はそういう町が増えることが楽しい。降りたことのない駅、見ていない川——すこしずつ歩きたいとおもっている。家でごろごろしている時間が外でだらだらしている時間になっただけともいえる。