2022/11/07

歳月

 十一月、今年もあと二ヶ月。いろいろやることが残っているが、一つ一つ片付けていくほかない(いちばんやりたいのは仕事部屋の蔵書減らし)。一年の経つ早さ(体感)を考えると、当然、五年十年なんてあっという間に過ぎていく気がする。そうやって老いていく。テレビを見ても知らない人ばかりになる。知らない人を覚えられないまま新しい人が出てくる。

 三日の祝日。高円寺は馬橋盆踊りの日だったのだが、夜まで仕事で神保町。途中、神田古本まつりに寄る。喫茶店、店の外まで人が並んでいる。均一で街道関係の資料を買う。いちばん混雑していたのは岩波ホールの裏の路地だった。『特別展 漂流 江戸時代の異国情報』(仙台市博物館、一九九八年)を見つけ、心の中で「値段がいくらでも買う」と決意し、値札を見る。良心価格でほっとする。大黒屋光太夫が書いたロシア文字と数字も収録している。古書ニイロクの出品。古書ニイロク、このあいだの西部古書会館の古書展でも面白そうな見たことのない本をいっぱい並べていた。

 大黒屋光太夫は伊勢しかも鈴鹿の人である。わたしの郷里には大黒屋光太夫記念館があり、地元のスーパーでは「大黒屋光太夫あられ」というあられも売っている(わたしの大好物。特に「味三色」がお気に入り)。

 来年の大河ドラマ絡みで徳川家康関連書籍の刊行予定がすごい。年内だけで何冊出るのか。どうなるんだろう。

 竹橋方面を歩いていると神田共立講堂で「グレープ50周年」のお祝いの花が飾られていた。わたしは会場の前を通り過ぎただけ。さだまさしは今年七十歳。グレープはさだまさしと吉田正美(政美)のフォーク・デュオ。代表曲「精霊流し」は一九七四年。さだまさし、二十二歳。わたしはグレープのころの記憶はなく、小学生のころ「関白宣言」や「親父の一番長い日」あたりで知った。そのころ、さだまさしはまだ二十代だったんだなと今さらながら気づく。自分と十七歳しか年が離れてなかったんだな。子どものころから知っている有名人は、ずっと年上のようにおもえる。

……と、ここまで旅行前に書いていたのだが、先週の金曜から光太夫の地元に帰省し、光太夫あられを二袋、コーミソースを二本買い、大阪に行って、今日の昼すぎに東京に帰ってきて洗濯して寝て、今、起きた。