シルバーウィークは三重に帰省していた。前に鈴鹿に帰ったときも驚いたけど、三日市駅(近鉄の無人駅)付近のロードサイドが激変している。ロッテリア、王将、吉野屋、サイゼリア、あと回転寿司、焼肉屋……。チェーン店の見本市のようだ。
今回の帰省では、生まれ育った町のちかくにできた「イオンモール鈴鹿ベルシティ店」(駐車場:四千七百台!)という巨大ショッピングモールにはじめて行った。駅から徒歩で。道、歩いている人、ほとんどいない。中にブックオフもあった。けっこうデカい。漫画だけではなく、ちゃんと単行本、文庫も充実していた。
携帯電話を見ながら、セドリっぽいことをしている若者がいた。
まさか生まれ故郷でそんな若者を見る日がくるとはおもいもしなかった。
タワーレコードもあるし……。
さらに「ベルシティ」のすぐそばに「ロックタウン鈴鹿」というショッピングモールもあり、「本の王国」という大きな書店(レンタルビデオ、コミック貸本もある)ができていた。
家のまわりにマンションがずいぶん建っている。ただ、入居率は低くて、ガラガラのようだ。
父の話によると、不況の影響で南米から出稼ぎにきていた人は、ほとんど帰ってしまったらしい。
母は、祖母(九十二歳)の見舞いのため、浜島に行っていて留守だった。
安心して芋焼酎を飲みまくる。家にあった漫画を読みまくる。
帰省するたびに割引セールをやっている洋品店で靴下、下着類を買いこんで、近鉄電車で京都に。
出町柳でレンタサイクルを借りて、コミックショック、古書善行堂、ガケ書房、恵文社一乗寺店をぐるっとまわる。
善行堂で山本夏彦の『日常茶飯事』(工作社)があって、声が出そうになる。文庫化はされているのだけど、単行本は見たことがなかったのだ。二十代のころから探していた本だ。
福田恆存が序文(推輓)を書いているという話は知っていたのだが、ほかに吉田洋一、飯沢匡も書いていた。
もちろん、この序文は文庫に収録されていない。
夜は拾得で東京ローカル・ホンクのライブ。そのあと扉野良人さんの家にみんなで泊る。
朝五時くらいまで語りあかし、翌日、北大路の丸万書店に行く。近くで仕事をしてる扉野さんと待ち合わせ。
丸万書店では、小穴隆一の随筆集『白いたんぽぽ』(日本出版協同)を買う。
芥川龍之介と親交のあった洋画家で高円寺に住んでいたこともある。
袈裟を着た扉野さんと今出川の町家古本はんのきに行く。
新幹線(夏の下鴨のときに買ったチケット)で東京に帰る。
旅行中、岡山からカメラマンの藤井豊君が上京するというので、仕事部屋の鍵を古本酒場コクテイルにあずけていた。
藤井君と飲んで、深夜一時くらいに店を出たところ、ハチマクラのオグラさんとみどりさん、サリーと道でばったり出くわし、もう一軒。
すでに体力の限界だったせいか、質の悪い酔い方をする。翌日、二日酔い。仕事に行く途中、前日の自分をおもいだして頭を抱え、道にうずくまる。
夕方五時くらいまでからだが酒くさかった。
この日の夜、ペリカンオーバードライブの増岡さん、原さんと飲むことに……。
「みんな、二日酔いみたいだけど、昨日何があったの?」