子供のころ、毎年夏は海のそばですごした。
速く泳ぐ方法と長く泳ぐ方法はちがう。昔、浜島育ちのオジに、遠泳のコツは、力を抜いて、楽に泳ぐことだと教わった。
あと息継ぎは規則正しく一定のリズムで、とも。
力を抜くことがむずかしかった。力を抜くとすぐ沈んでしまう。でも、いつの間にか、不格好ながら、そこそこ長く泳ぐことができるようになった(速く泳げるようにはならなかった)。
ある日、突然、何かコツをつかむ。それまではどんなに考えてもできなかったことが、何も考えずにできるようになる。
もちろん、いつまで経っても、できないことはいろいろある。
できる、できないを分ける境目みたいなものは何なのかということが気になる。
力を抜いてばかりいると、やる気がないとおもわれる。力を抜かないと、やる気が続かない。
行き詰まるたびに力を抜く。だからふんばりがきかない。
たぶん力を抜く以外にも、いろいろなコツがあるのだろう。
溺れないことばかり考えていると、そもそも泳がなければいいという気持になってくる。
脱力もむずかしいとおもう。