2017/07/27

月一の古典

 出版の世界には、GW進行、お盆進行、年末進行とスケジュールが前倒しになる時期がある。その時期をどうのりきるか。いつまで経っても慣れない。
 仕事と関係ない古本を読む。ラジオでプロ野球のナイターを聴く。家事をする。酒を飲む。いずれかの時間を削らないとしめきりに間に合わない。でも削ると、調子が出ない。

 すこし前に古今東西の古典をいろいろ紹介する仕事をした(刊行は来月末頃)。「人間関係」の悩みは、数百年という単位でも大きな変化がない。それだけ解決することがむずかしいともいえる。

 仕事の合間、湯浅邦弘『別冊NHK100分de名著 菜根譚×呻吟語』を読む。わかりやすいし、おもしろい。『菜根譚』は高度成長期にベストセラーになったり、政治家や経営者の愛読書になったりしているのだが、内容からすれば、(零細)自由業者向きのところもある。なるべく競争を避けたほうがよいと説く処世術の本だし、「読む薬」としても重宝している。慌ただしい日々をすごしているときに読むと平熱に戻るかんじだ。
『菜根譚』は、文献によって刊行された時期がバラバラなのだが、『別冊NHK100分de名著』の年表には一五九一年(万暦19年)に出版とある。これが定説ということでいいのだろうか。

 どんなに忙しいときでも月に一冊くらいは古典を読んだほうがいい。というのは、文芸評論家の十返肇の教えだ。すぐ忘れてしまうが。