2018/08/29

散歩と旅行

 得体の知れない人物から逃げていて、抜け道の小さな扉を見つけたら、タオルがぎっしり詰まっていて……という追われる夢を見て目が覚める。疲れているのかもしれない。

 月曜日、昼から荻窪散歩。ささま書店、タウンセブン、ルミネの地下の食料品売り場をまわる。先月、焼鯖の瓶詰を買っていた近所の店が閉店し、困っていたのだが、荻窪ルミネの地下で売っていた。帰りは高円寺まで歩く。
 荻窪に行くと、ジャンボ総本店のたこ焼(値下品)を買っていたのだが、高円寺にもできた。高円寺はすこし前に築地銀だこもオープンした。たこ焼がきてるのか。何年か前の話だけど、高円寺の北口のひっぱりだこという店がなくなった。好きな店だった。たこ焼といえば、中野の南口のたこまるにも行く。ソースではなく塩のたこ焼。たこ焼の味はまだまだ可能性があるはずだ。

 ささま書店では街道本。太田三郎著『中山道 美濃十六宿』(大衆書房)などを買う。読みたい本が変わると、棚の見方も変わる。「道」という言葉にすぐ反応してしまう。
 木曽路、美濃路など、検索語句が増えるにつれ、探求書も増えていく。中山道、知らない町ばかりだ。この感覚は三十歳前後にアメリカのコラム本を探していたときとも似ている。

 平凡社の「太陽」コレクションやカラーブックスの街道本がいい。今井金吾の街道本がこの分野の基本文献になるのだろうか。本を探すにも知識がいる。最初、街道本がどこの棚にあるのかすらわからなかった。旅とか地理とか歴史とか。あと山岳の本の近くにもある。

 部屋の掃除をしていたら文藝春秋SPECIALの「老後の楽園」の号が出てきた。二〇一二年の秋号。昔から余生をどこで過ごすかということを考えるのが好きだった。
 三重県は松阪市の殿町付近が取り上げられている。松坂城跡の周辺だ。昔、母は鵜方のあたりに住みたいといっていた。わたしは伊勢湾フェリーに乗って以来、鳥羽が好きになった。郷愁というか、田舎にいたころは関心が本や音楽に向いていたから、土地のよさに気づけなかった。

 おもしろいことをいっぱい見逃してきた。後悔はないが、焦りはある。旅行したい。