先日、『本の虫の本』(創元社)という活字中毒者向けの本本を刊行。筆者は林哲夫さん、能邨陽子さん、田中美穂さん、岡崎武志さん、それとわたし。イラストは赤井稚佳さんが担当。先にお題を提出し、それについて書くかんじだったのだが、わたしは半分以上、テーマを変えてしまった。編集、大変だったにちがいない。
今年の一月末、大阪で打ち合わせ。本の虫はメガネ率が高い。そのあと紀伊半島をまわった。ずいぶん昔のことにおもえる。
それから来月、ちくま文庫から出る山川直人さんの『ハモニカ文庫と詩の漫画』の解説を書いた。単行本の『ハモニカ文庫』に江戸川乱歩、尾形亀之助、菅原克己の詩や小説を漫画化した作品が収録されている。解説を書くとき『ぐるり』の南陀楼綾繁さんのインタビューを参考にした(山川さんの特集号)。尾形亀之助の漫画はちょっと意外な作品だった。
水曜日、神保町。一年以上前からの懸案だったメガネのレンズを交換する。もともと読書用に弱めの度数にしているのだが、外出時(とくに旅行のとき)は看板や標識が見えずらくて、不便だった。釣堀で浮子の動きが見えないのも困る。
店に入った途端、「前にもお越しになっていますね」といわれる。六年前にレンズの交換をしているのだが、店舗の場所はちがう。
メガネのフレームはブラックジャーナリズムの仕事をやめたころに新調した。二十三年前だ。もう一本の予備のメガネは二〇〇二年の秋くらいに買った。その後、二本のメガネのレンズを交互に取り換え、今に至る。視力を測ると、右目の乱視も進んでいた。メガネをかけても〇・四しか見えない。〇・八まで上げてもらう。
レンズ交換のあいだ、神田伯剌西爾でコーヒー。澤口書店で東海道関係の本を数冊。あと一九九一年度版の『渓流の釣り』というムックを買う。
都道府県ごとの川のMAPがあるのだが、長野と岐阜は川が多い県であることを知る。山といえば川——というのは、人の言葉に反対することのたとえ(右といえば左みたいな意味)だが、山があれば川があるのは当然のような気がする。釈然としない。
『渓流の釣り』では中山道の奈良井宿の近くの奈良井川も取り上げられていた。街道と川というテーマも興味がある。
東海道は、わざと橋をかけず(江戸を守るためだったらしい)、川の水かさが増すと通れなかった。雨が降ると宿場町が儲かる。
新しいレンズにして視界が明るくなった。家だと床が傾斜しているかんじに見える。メガネ店で遠近両用のレンズも試してみたが、新聞が読みやすかった。レンズの下半分が度が弱い。そういう構造だったのか。
もう一本、眼鏡がほしくなる。