2018/09/01

古山さんフェア

 金曜日、JR中央線で御茶ノ水駅まで。高円寺駅のホームにいると雷。阿佐ヶ谷方面で稲妻が光っている。あんなに大きな稲妻は、はじめた見た。
 千駄ケ谷駅を過ぎたあたりから緑が増える。
 大学時代、高円寺から御茶ノ水までの定期券を持っていた。大学に通うよりも古本屋をまわっていた。通学中、市ヶ谷の釣り堀を見るのが好きだった。こんな都心で平日の昼間から釣りをしている人がいるのはいい世の中だとおもっていた。

 東京堂書店の一階で『編集者冥利の生活』刊行記念フェア(古山高麗雄とその仲間達)を開催中。予備校時代の同級生の安岡章太郎、『季刊芸術』をいっしょに編集していた江藤淳、友人の田中小実昌、『戦艦大和ノ最期』の吉田満、古山さんが編集者として担当した森敦や中上健次の本がずらっと並んでいる。壮観です。

 東京堂書店の文庫ベストセラーランキングでも『編集者冥利の生活』が一位になっていた。よかった。

『編集者冥利の生活』所収の「職業作家としての不安」というエッセイにこんな一節がある。

《何をどう考えるかということが決まらなければ、原稿用紙のマス目を埋めることはできません。ところが私は、考えようもない不明なことに取り囲まれて、がんじがらめになっているわけです。結局私は、私がわかっているような気のするわずかばかりのことを寄せ集めて、小説を書こうとします。(中略)私たちは、もっと雑に、気楽に、いい加減に生きていけばいいじゃないか、と思います》

 外に出ると夕立。傘を買うかどうか迷ったが、地下鉄で帰る。半蔵門線で九段下、東西線に乗り換える。高円寺に着いたら、雨がやんでいた。