仕事部屋の本の整理が終わらない。片づけはじめる前の二倍くらい散らかってしまった。
掃除中、毛利好彰著『知的生活のための散歩学』(実務教育出版、一九九一年)という本が出てきた。いつ買ったのかすら憶えていない。目次をパラパラ見ると「私の高円寺寺町散歩」という頁がある。「高円寺」という文字に反応して買ったとおもう。未読のまま埋もれているおもしろい本がまだまだあるのだろう。自宅で宝探しができるなんて最高だ。
本書の「散歩空間をさらに広げる」というエッセイを読んでいたら、次のような文章があった。
《私はまず、高円寺の自宅から歩いて一五分以内に走っている路線を、ひととおり終点まで乗ってみた。散歩の偵察である。環状七号線沿いには、赤羽、王子、練馬、野方、新宿西口、南にまわれば野沢銀座や渋谷行きのバスが走っている。そのほか、中野、吉祥寺、五日市街道車庫、阿佐ヶ谷、阿佐ヶ谷車庫、丸山車庫行きなど、かなりの路線がある》
読んだおぼえがない。最初、野沢銀座がどこだかわからなかった。高円寺界隈からの直通のバスはもうないようだ。
調べてみたら、東京メトロの東高円寺駅から都営バスで京王井の頭線の新代田駅前、それから東急バスに乗り換えて野沢銀座に行くルートがある。
というか、東高円寺から新代田駅までのバスがあったのか。
これは大発見だ。下北沢はライブハウスや劇場が多い。今はすこし足が遠のいたが、昔はしょっちゅう下北沢に行ってた。
高円寺から下北沢に行くにはJR地下鉄問わず、とりあえず新宿に出て、それから小田急線に乗り換えて行くのが、わたしがよく利用しているルートだ(JR中央線の吉祥寺に出て井の頭線で行く方法もある)。JR中央線の高円寺駅から小田急線の下北沢駅まではIC運賃で三百八円。乗り換え時間を含めると二十分以上かかる。
ところが、である。東高円寺駅〜新代田駅の都営バスのIC運賃は二百六円。時間は十七分(渋滞に巻き込まれなければ)。
片道百二円浮くやん。往復で二百四円浮くやん。
新代田駅から下北沢駅までは五百メートルもない。たぶん下北沢駅のホームから地上に出るまでの時間くらいで着いてしまう。下北沢界隈に住んでいる人もこのルートを知っておいて損はないだろう。都営バスはこのルートをもっと宣伝したほうがいいとおもう。
(追記)
後日、東高円寺駅から高円寺駅まで歩く。東高円寺駅まで行かなくても環状7号線沿いの高円寺陸橋のバス停からも新代田駅行きのバスに乗れることがわかった。高円寺駅からだと高円寺陸橋のほうが近い(杉並車庫前からも新代田行きのバスに乗れる)。