ここ数年、首都圏はブタクサが減少傾向にあるらしく、秋の花粉症はずいぶん楽になった。ひょっとしたら体質が改善されたのかも……とおもっていたのだが、そうではなかった。
今月八日、三重に帰省した。近鉄沿線の最寄り駅を降りた途端、くしゃみが止まらず、目がかゆくなる。持参した漢方を飲んだが、急には効かない。幸い、家にあった市販の鼻炎薬が効いた。
秋の花粉症であることが判明したのは、二十五歳のときだ。たぶん、小学校の高学年くらいから症状はあった。ずっと夏風邪だとおもっていた。
ブタクサのアレルギーの人は、バナナ、メロン、スイカなどの果物にも反応することもある。
内田百閒著『戻り道 新方丈記』(旺文社文庫)に「寿命」というエッセイがある。吉行淳之介の「百閒の喘息」でも取り上げられている作品である。
《今年の夏は喘息で大分永い間閉口した》
先月、このブログで「おそらく百閒の喘息は、夏型過敏性肺炎か秋の花粉症だろう」と書いたが、「寿命」には「寒くなると一冬に何度も寝ついた事がある様に思ふ」という記述もあった。秋花粉説はちがうかもしれない。