2020/05/15

練馬あるき

 今週は高円寺の古書サンカクヤマ、中野の古本案内処に行った。古本屋が営業していることがこんなに嬉しいとは。
 サンカクヤマでは岩田健三郎著『ヘラヘラ・マガジン』(冬樹社、一九八四年)を購入。字が小さい。でも楽しい本だ。
 わたしは冬樹社の本をだらだらとコレクションしているのだが、この本は知らなかった。著者インタビューの新聞記事もはさまっていた。

《「ヘラヘラマガジン」という、ちょっと変わった本が出た。兵庫県姫路市でミニコミ活動を続けている岩田健三郎さん(37)の作品。装丁も自分で手がけ、表紙から奥付まで、乾いた軽いタッチの漫画やイラスト、語り口そのままの「しゃべくり」調でつづった身辺雑記を、手書きのまま印刷している》

——新聞記事の抜粋。いい記事なんですよ。一九八四年十一月二十七日(火曜日)の「自由席」というコーナーの記事である。

《アルバイトで生活しながら、「何の役にも立たないようでいて、いないと何となく寂しい、という人がいる。そんな人間みたいな絵がかけたらなあ」と思ってきた》

 サンカクヤマのあと、野方あたりまで散歩するつもりが、勢いがついて練馬まで。練馬のライフは高円寺のスーパーにない商品がけっこうあってあれこれ買ってしまう。
 高円寺から練馬までは一万歩ちょっと。途中、梅崎春生が住んでいた豊玉中あたりも歩いた。高井有一も練馬の豊玉に住んでいた。高井さんには若き日の色川武大の話を聞いたことがある。二十年以上前の話だ。帰りはバスに乗る。環七まっすぐあっという間に高円寺に着いた。

 翌日、古本案内処。街道本二冊。中野のライフでパンを買う。北口のサントリーパブ・BRICKも閉店か。二十代のころ何度か飲みに行った。通りかかったときも店の写真を撮っている人がいた。
 中野は営業している店が多く活気があった。行きはガード沿い、帰りは南口の桃園商店街からあみだくじ方式で高円寺に帰る。