野球選手が、守備練習で連続でノックを受ける。野球の場合、試合中に守りの選手が起き上がる間もなく、ボールが飛んでくることはない。
長年、わたしは「千本ノック」のような練習の意味がわからなかった。
たぶん、考えなくても瞬時にからだが動くようにするための練習なのだろう。
反復練習の目的というのは、たいていそうだ。
草野球をやっていた子どもが、二、三十年ぶりに野球をする。
運動不足でからだはおもいどおりに動かない。真っ正面に飛んできた簡単なゴロが捕れない。あれ、おかしい。逆に、ものすごく速くてむずかしい逆シングルの球に、からだが勝手に反応して、捕れてびっくりすることもある。
不思議な感覚だ。考える間もなく、からだが動く。というか、考える間がないから、からだが自然に動く。
慣れや熟練は、考える間を短縮する。
すごい職人やミュージシャンを見ると、からだと道具や楽器が一体化しているかんじがする。
ある種の技能というのは、できるようになってはじめてわかる。できないうちはわからない。
連休中、昨年十二月からこのブログで書き続けてきた「試行錯誤」と「自分の声」を読み返した。半知半解で書いているから未消化なところが多い。
それこそ“自分の声”でこのテーマを書きこなすには、まだまだ時間がかかりそうだということがわかった。
反復練習が必要だということも……。