2015/12/26

西部古書会館

 ひさしぶり午前中に目がさめる。今年最後の西部古書会館に行く。
 ここ数年、八〇年代の本の“古本感”が出てきた気がする。八〇年代はリアルタイムでおぼえている本とまったく知らない本の差が激しい。

 上京したのが一九八九年で西部古書会館にはその年の秋くらいから通いはじめた。当時は、大正時代とアナキズム関係の本を中心に読んでいたから、同時代の本の記憶があまりない。
 それからしばらくして吉行淳之介と鮎川信夫を読みはじめ、文学や詩に興味がひろがった。二十代後半、私小説と中央線文士、あと将棋の本ばかり読んでいた。

 二十代のころに読んだ古本の半分くらいは西部古書会館で買った本かもしれない。
 行き当たりばったりに本を買ってきたつもりでも、そのときどきの傾向がある。その傾向は、時間が経ってからわかることが多い。

 一人の作家、一冊の本によって、ガラっと読書傾向が変わったような気がしても、案外、それ以前に読んだ本の影響がある。

 なかなか読みたい本が買えない時期、仕事が行き詰まった時期に読書傾向が変化する。
 現状を打開しようとして、これまで読んでこなかった本、知らないジャンルの本に手を出す。

 それはそれでけっこう楽しい。