2015/12/31

年末日記

 今年は大掃除はせず、のんびりする。ここ数日、スーパー、薬局は混んでいた。薬局では貼るカイロを買った。

……『フライの雑誌』107号が届く。最新号の特集は、「再発見・芦ノ湖の鱒釣り」。単なる「鱒釣り」ではなく、わざわざ「芦ノ湖の鱒釣り」と絞り込んでいるところが、『フライの雑誌』らしい。

 芦ノ湖(神奈川県箱根町)は「フライフィッシングを一般の釣り人に広めた、歴史的にも文化的にも重要な湖」とのこと。
 かつての芦ノ湖は「初心者を安心して釣れて行ける釣り場」として人気だった。
 一九九〇年代はニジマスの成魚の放流が(異常なくらい)盛んに行われていた。
 そして今の芦ノ湖は——。

 この号でわたしは加村一馬著『洞窟オジさん』(小学館文庫)について書いた。いちおう釣りの話も出てくる。今年読んだ本の中では、一、二を争うくらいおもしろかった。単行本は十年以上前に出ていたのだが、文庫になってはじめて知った。

 同誌は釣り人(少数派)の立場で世界と対峙し、おかしいとおもったことはおかしいという。長いものに巻かれない。過激だけど、まっとうな雑誌だとおもう。「わたしみたいな世の中の外れ者のおじさんと、いつまでも一緒に釣りして遊んでいるようでは、人として困る」「ハヤをどれだけ釣っても、社会にはなんの役にも立たない。自分が楽しいってだけだ」(いずれも堀内正徳「オイカワ日記」/『フライの雑誌』107号掲載)といった編集発行人のボヤキを読むのも毎号愉しみ。

 二十九日、ペリカン時代で「弦八(木下弦二、春日ハチ博文)」のライブを見る。よかった、すごかった。ふたりとも人とはおもえないような指の動きだった。ふと「この人、何やっているんだろう」とおもう瞬間が何度かあった。いいもの見た。
 最近、弦二さんのソロアルバム(『natural fool』)の収録曲「遅刻します」のことを考えている。聴くたびに曲の印象が変わる。

 三十日、毎年恒例のTBS「プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達」を観る。今年はパ・リーグの選手で、結婚や第一子が生まれる直前に戦力外になった選手をとりあげている。
 同じくらいの成績でも戦力外になる選手とならない選手がいる。厳しい競争の末、プロになっても五年十年と続けられる選手は限られている。戦力外になる選手を見ていると、調子のいいときであれば、一軍で通用する力は充分ある。しかし、調子があんまりよくないときに、だましだまし乗りきる技術が足りないようにおもえる。

 そんなことを酒飲んでテレビを見ているだけのおっさんがいってみたところで何の意味もないわけだが、さらに余計なことをいわせてもらうと、プロ野球選手の妻は、結婚してすぐ仕事をやめないほうがいいとおもう。