珍しく平日の午前中に目が覚めてしまったので、西部古書会館の赤札市に行く。かなりいい本(といっても、あくまでもわたしの趣味だけど)があった。
久々に袋がいっぱいになるくらい買う。
今年は蔵書減らし年だったので買った冊数(キンドルでダウンロードした分は別)よりも売った冊数のほうが多い。おもう存分、本が買えないのはつらい。しかしそんなつらい年がないと、古本屋めぐりを続けられない。
もうガマンはやめよう。そうおもった。
小山力也著『古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な一五〇のお店』(原書房)を読んで、くすぶっていた古本魂に火がついた。
《最初は確かに趣味のひとつのようなものであった。その程度の心構えであった。しかしそれは、いつの間にか己の人生と激しく混ざり合い、その人生を喰い尽し始めていた。長い移動時間と旅費が、生活をビシビシと痛めつけてくるのだ》(「はじめに——古本屋を訪ねる旅は、長く果てしなく、そして愉快だ」)
ひとつひとつの文章が濃い。労力もすごい。いかに古本(古本屋)が好きとはいえ、ここまでくると一種の苦行だとおもう。
全国各地の古本屋(古本屋ではなく、古本を置いている店も含めて)を踏破しようとしている人物がいるらしい。
古ツアさんのブログがはじまって以来、この謎の人物の噂をあちこちで聞いた。
職業は何なのか?
齢は何歳くらいなのか?
何のためにこんなのことをしているのか?
その疑問が判明したのは今から二年前——だったことを古ツアさんの本を読んでおもいだした。
最初は古本酒場コクテイルで古本の話をして、二軒目のペリカン時代で古ツアさん曰く「特殊な音楽」の話になった。
飲んでいたので記憶はあやふやなのだが、なぜかナゴムの話で盛り上がり、「ペリカン時代の原さんはグレイトリッチーズや青ジャージのキーボードだよ」と教えると、「あの、THE青ジャージですか!」と急に顔つきが変わった。
そこから共通の知り合いの名前が出るわ出るわ。
その日の話もこの本の中に書いてあった。