2008/03/26

あすなひろしが文庫に

 火曜日、洗濯、掃除、買物(OKストア)をすませ、夕方、杉並区役所に滞納していた区民税を払いに行くついでに阿佐ケ谷の新刊書店で、仕事の資料の雑誌を探すが見つからない。
 そのまま中野まで行く。
 阿佐ケ谷から中野まで自転車だとあっという間だ。
 探していた雑誌は、あおい書店にはなかった。でも三十分以上店内であれこれ立ち読み(あいかわらず新刊書の並べ方が素晴らしい)してから、はなまるうどんで食事(かけ小、唐揚、カボチャの天ぷら)。
 ブロードウェイ三階の明屋書店に、目当ての雑誌はあった。
 あおい書店と明屋書店が高円寺にあれば、といつもおもう。はなまるうどんも。

 そのあとタコシェに寄る。古本を五冊と『いましろたかし傑作短編集』(ビームスコミックス文庫)を買う。中身は『いましろたかし傑作短編集クール井上』(エンターブレイン)と同じ。上京して風呂なしアパート暮らしのころ、いましろたかしにハマった。とくに『ハーツ&マインズ』(集英社)所収の「ジャスティⅡ 山下兄弟怒りのまんが道」は傑作だとおもう。

 それにしてもビームスコミック文庫のラインナップはすごい。あすなひろしの『青い空を、白い雲がかけてった 完全版』(上・下)、『林檎も匂わない』、『いつも春のよう 増補版』もはいっている。
 あすなひろし作品は一通り持っているのだが、『いつも春のよう 増補版』はほしいなあ。再編集版では「ゆめの終わり」「ながれうた」が追加収録されているそうだ。

『いつも春のよう』の収録作では、「ラメのスウちゃん」が好きで、読むたびに涙腺がやられる。

《国電を降りて
 三つめの路地を
 曲がったところに
 赤ちょうちん「安芸」がある》

 この店では「ラメのスウちゃん」という中年のおばちゃんが働いている。そのスウちゃんが「若くて きれい……な頃」の遠い昔の恋が描かれているのだけど、あとは読んでください。ふだん漫画を読まない人にこそ、読んでほしい。

 山川直人の『コーヒーもう一杯』(エンターブレイン)の四巻も出てた。この巻の「本を読む男」、積まれた本の中に色川武大の「あの本」や菅原克己や木山捷平の詩集がさりげなく描かれている。
 そのあとブロードウェイ二階の古書だるまやで、三好豊一郎『内部の錘 近代詩人論』(小沢書店)、小島政次郎『明治の人間』(鶴書房)など。古書だるまや、店は大きくないけど、かならず何か買ってしまう。

 三好豊一郎の本は、黒田三郎資料——。
 黒田三郎のことを同じく「荒地」のメンバーだった三好豊一郎が記しているのだが、抑えた筆致にすごみがある。

《わかっているのは、黒田の飲酒と並外れた酔態であるが、黒田は随分睡眠薬の世話になってその服役状況も光子さんが心配するほどだったから、飲酒も味覚のみでなく、酔わずにいられない衝迫を、心のどこかにいつも感じていたのだろう》(「荻窪清風荘時代の黒田三郎」)

 また詩が読みたくなってきた。