急に涼しくなったので、秋用のシャツを出し、洗濯する。小雨が降っていたので部屋干しに扇風機をまわす。金沢在住のシンガーソングライターの杉野清隆の「夏が終わったみたい」(アルバム『メロウ』に収録)を聴く。
マクニースの「秋の日記」(中桐雅夫訳)が入った長田弘編『全集 現代世界文学の発見3 スペイン人民戦争』(學藝書林)が届く。長篇詩というからどのくらいの長さなのかとおもっていたら、二段組で六十頁ちょっとあった。一九三九年に発表された詩だ。
《しかし人生は礼儀や習慣にかなったことに限られはじめた、——「ねばならぬ」とか「ふさわしい」とかに——》
《今日の流行は、完全な画一性と
機械的な自己満足だ》
《だが仕事はぼくには合わぬ》
《ぼくのプライドは理性の名において告げる、
損の少いうちに手をひいて、やめた、といえと
あまり自信がないのだったら
たしかにそうすべきなのだが
ひょっとしたら、と抜け道を見つけて
いま一度の逢い引きに賭けるのだ》
《いつでも野蛮人がいる、いつでも各自の生活がある、
通りには何ダースもの普通の人がいる、それから、
食物を充分に得るという、重要ではないにしても
永久的な問題がある》
引用した部分はマクニースが「わたし自身のもっと私的な生活を扱っている一節」と述べているところだとおもう。でもこれらの「私的な一節」によって、わたしは遠い過去、遠い国の戦争のことを考えさせられている。
ひとりの人間の輪郭の見える言葉で記録されたもの——は時間が経っても色あせない。
『全集 現代世界文学の発見』は他の巻もおもしろそうなのだが、揃い(十二巻)だと二万円くらい。バラで集めるのは大変か。